高める
インターバル速歩で VO₂Max を高める
インターバル速歩は、速く歩く時間とゆっくり歩く時間を交互に繰り返す方法です。走らなくてよく、特別な場所も要らないので、歩く習慣のある人が次の一歩として取り入れやすい方法です。日本の中高年を対象にした研究が多くあります。
研究で使われた歩き方
ゆっくり3分 → 速歩3分で、1セット
1. ゆっくり歩き · 3分
歩行での最高酸素摂取量の約40%
次は速歩へ
2. 速歩 · 3分
歩行での最高酸素摂取量の70%を超える強度
次はゆっくり歩きへ
ゆっくり3分 + 速歩3分 = 1セット6分
平均63歳の男女246人を対象にした試験で、インターバル速歩群には1日5セット以上・週4日以上・5か月の実施を指示しました。強度は個人の体力に合わせて設定されています。これらは最大心拍数に対する割合ではなく、スマートウォッチの心拍数や「ややきつい」という感覚へ、そのまま置き換えることはできません。
研究で確かめられたこと
5 か月のランダム化比較試験(Nemoto ら 2007)
- 対象: 平均63歳の男女246人(男性60人、女性186人)を3群に割り付けました。解析対象は全群で139人、うちインターバル速歩群は42人です。割り付けた全員を含む解析ではありません。
- 3 つの群: ①歩行トレーニングなし、②中強度で歩き続ける(最高酸素摂取量の約 50%、1 日 8,000 歩以上を週 4 日以上)、③インターバル速歩(ゆっくり 3 分 → 速歩 3 分を 1 セットとして、1 日 5 セット以上、週 4 日以上)。
- 結果: インターバル速歩群の解析対象者では、加速度の情報から推定した歩行の最高酸素摂取量が9%、呼気ガスで実測した自転車運動の最高酸素摂取量が8%上がりました。太ももの筋力(膝を伸ばす力 13%、曲げる力 17%)も上がりました。いずれも、歩き続けた群より大きい改善でした。安静時の収縮期血圧の低下も、インターバル速歩の群で大きいものでした。
- 続けられた人: 目標どおりに実施できたのは、インターバル速歩の群で男性 19 人中 11 人、女性 68 人中 31 人でした。研究でも、続けることは簡単ではありませんでした。
679 人の 5 か月(Masuki ら 2019)
- 5 か月のインターバル速歩を終えた平均 65 歳の 679 人を解析した研究です。推定の最高酸素摂取量は平均 14% 上がり、研究で用いた生活習慣病関連のスコアは 17% 下がりました。運動をしない対照群との比較ではなく、参加者の前後の変化です。
- この参加者集団では、週の速歩時間が約 50 分までは、時間が長いほど改善が大きいという関連が見られ、その先は頭打ちでした。ゆっくり歩く時間や総歩行時間には、改善との正の関連が認められませんでした。時間別に割り付けた試験ではないため、50 分が全員に最適な量や上限だと示す結果ではありません。ゆっくり歩く区間が不要という意味でもありません。
レビューでは、インターバル速歩は体力と筋力の向上に有効で、短期の研究では継続率が高い一方、長期に続けることが課題だとされています(Karstoft ら 2024)。
研究で使われた歩き方
- ゆっくり歩き 3 分: 歩行での最高酸素摂取量の約 40%。
- 速歩 3 分: 歩行での最高酸素摂取量の 70% を超える強度。
- この 1 セット(6 分)を 1 日 5 セット以上(30 分以上)、週 4 日以上、5 か月行うよう指示しました(Nemoto ら 2007)。
上の3分+3分は原著要旨の記載です。本文では低速歩2〜3分、速歩3分、速歩の強度は歩行の最高酸素摂取量の70%超・85%未満と説明されています。研究では、個人の体力に合わせた強度設定や、加速度計などによる記録を用いています。市販のスマートウォッチの心拍数や「ややきつい」という感覚を、この研究の強度と同じものとして置き換えることはできません。上の時間と強度は研究条件であり、初めて行う人にそのまま勧めるメニューではありません。
取り入れる前に
- 運動習慣がない場合は、無理のない歩行を低強度・短時間から始め、徐々に増やします。研究の回数を最初から満たす必要はありません(厚生労働省 2023)。
- その日の体調や翌日の疲れを確かめ、日常生活に支障が出るほど疲れが残る場合は休養し、次回の強度や量を控えます。
- 持病・服薬・気になる症状がある場合は先に医師へ相談します。自分に合う強度の設定に迷う場合は、運動指導の専門家にも相談してください。
安全に行うために
- 膝や腰の痛みがある人は、先に医師に相談し、低強度・短時間から始め、痛みが出ない範囲で行います(厚生労働省 2023、INFORMATION 4)。
- 運動中に胸の痛み、冷や汗、動悸、めまいやふらつきなどがあれば、すぐに中止します。
- 暑い時期は水分をこまめにとり、熱中症警報が出ている日は無理をしません。
出典
- Nemoto K, Gen-no H, Masuki S, Okazaki K, Nose H. Effects of high-intensity interval walking training on physical fitness and blood pressure in middle-aged and older people. Mayo Clin Proc. 2007;82(7):803-811. https://doi.org/10.4065/82.7.803
- Masuki S, Morikawa M, Nose H. High-Intensity Walking Time Is a Key Determinant to Increase Physical Fitness and Improve Health Outcomes After Interval Walking Training in Middle-Aged and Older People. Mayo Clin Proc. 2019;94(12):2415-2426. https://doi.org/10.1016/j.mayocp.2019.04.039
- Karstoft K, Thorsen IK, Nielsen JS, et al. Health benefits of interval walking training. Appl Physiol Nutr Metab. 2024;49(7):1002-1007. https://doi.org/10.1139/apnm-2023-0595
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」INFORMATION 6「全身持久力(最高酸素摂取量)について」 https://www.mhlw.go.jp/content/001195874.pdf
- 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」INFORMATION 4「身体活動・運動を安全に行うためのポイント」 https://www.mhlw.go.jp/content/001195872.pdf
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